クリニック開業で物件を決める前に知っておきたい「物件と内装設計の関係性」。給排水・電気・空調などの構造条件が内装費用や動線に与える影響を解説。医療専門の内装業者と物件選定を並行する具体的なメリットをご紹介します。
目次
「立地優先」で進めると、内装でつまづくケースも
クリニック開業物件でまず重視されるのが立地や賃料条件です。
もちろん集患に直結するため最重要項目ではありますが、「立地が良い=開業に適した物件」とは限りません。
実際には、
- 水回りが自由に取れない
- 床上げ工事が必要になり施工費が想定以上に膨らむ
- 空調が独立しておらず改修不可
といった“構造上の制約”によって、内装コストが数百万円単位で増えるケースも見られます。
構造・設備条件が内装費を大きく左右する
同じ面積でも、物件の構造や既存設備によって施工費は大きく異なります。
特に以下の3点は、医療内装における代表的なコスト変動要因です。
①給排水設備
クリニックでは処置室などで水回りが必須です。
しかし、排水勾配が確保できない・配管スペースがないといった場合、床を上げる工事が必要になり、費用が大幅に増えます。
また、排水容量が足りない場合は設備改修も必要になります。
②電気容量
美容・歯科・整形などのクリニックでは、高出力の医療機器を使用します。
テナントの電気容量が不足していると、幹線工事や分電盤の増設が必要となり、内装費だけでなく工期・開業時期にも影響します。
③換気・空調設備
感染症対策の観点から、待合室や診察室ごとに換気量が求められます。
ビルの空調が共用管理の場合は個別制御ができず、冷暖房の効率が悪化する/換気量が不足するといった問題が発生します。
柱・間口・共有部 レイアウト制約が動線計画に影響
医療施設の設計では、「患者動線」と「スタッフ動線」の分離が不可欠です。
しかし、ビル構造によっては柱の位置や間口の狭さ、共用トイレの配置などにより理想的な動線が取れないことがあります。
内装業者が物件選びに同行するメリット
物件を決める前に、医療内装の専門業者が現地確認を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 構造的制約を早期に把握できる
給排水・電気・空調などの条件を契約前に確認可能。 - 内装費用の概算を事前に算出できる
融資計画に反映でき、後からのコスト増を防げる。 - 動線設計を踏まえた物件判断ができる
開業後のオペレーション効率を考慮して選定可能。
このプロセスを踏むことで、「契約後に設計変更」「融資不足」「そもそも開業できない物件だった」といったトラブルを未然に防ぐことができます。
医療専門の内装業者を選ぶ理由
医療機関の内装工事には、一般のオフィスや店舗にはない法的・技術的な要件があります。
たとえば、
- 医療法・建築基準法・消防法への適合
- 廃棄物置場・手洗い設備などの保健所基準
- 医療機器の電源容量・搬入経路の確保
これらを理解していない業者に依頼すると、工事完了後に保健所検査で再施工が必要になるなどのリスクが生じます。
したがって、クリニック開業では「医療専門の内装業者を選ぶ」ことも重要です。
まとめ 物件と内装はセットで考えるのが開業成功の近道
クリニック開業では、物件の立地条件と同じくらい、構造・設備条件を見極めることが重要です。
「立地が良くても医療用途に適さない」物件は数多く存在します。
契約前に専門業者と現地を確認し、構造上の制約・施工費・レイアウト可否を把握しておくことで、無理のない内装計画と開業スケジュールを組むことができます。
医師の不動産デスクでは、医療モール・商業ビルなどクリニックに適した物件のご紹介を行っています。
内見時には、医療専門の内装業者が同行し、構造チェックや概算見積もりのご相談も可能です。
「立地 × 内装」をセットで検討されたい先生は、ぜひ一度ご相談ください。