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クリニック開業時の標榜診療科名選択の基本ルールと注意点

標榜診療科目名とは

医療機関が看板などで広告できる診療科名を標榜診療科名といいます。これは、厚生労働省が医療法に基づき定めています。

標榜診療科名は医療機関が提供するサービスを患者に明確に伝える役割を果たし、また法的にも重要な意味を持ちます。適切な標榜診療科名の選択は、患者さんとのコミュニケーションを円滑にし、医療機関の特色を正確に表現することに繋がります。

標榜診療科名の表示方法

現行の標榜診療科名は、厚生労働省により見直しが行われ、平成20年(2008年)4月1日から施行されているものです。2024年7月現在まで新たな見直しは行われていませんが、厚生労働省は新たに「睡眠科」を追加する方針を固めています。

標榜診療科名の表示方法は4種類に大別

現行の標榜診療科名の表示方法は以下の4種類に大別されています。

(イ)「内科」
(ロ)「外科」
(ハ)「内科」または「外科」と、以下の各事項とを組み合わせたもの。
a. 部位、器官、臓器、組織、又はこれらの果たす機能
b. 疾病、病態
c. 患者の特性(性別、年齢を示す名称)
d. 医学的処置
(ニ)単独の名称をもって診療科名とするもの。さらに、a~dの各事項との組み合わせも可能。

(日本医師会「診療科名の標榜方法の見直し」より引用)

標榜診療科名の例(医科)

標榜科目名のNG例

(日本医師会「診療科名標榜方法の見直し~組合せの例」より引用)

詳細な組合せや認められない診療科名については、日本医師会のHPをご確認ください。
https://www.med.or.jp/doctor/sien/s_sien/000316.html

美容外科・美容皮膚科の標榜について

現状

2008年4月1日施行の医療法施行令の一部改正により、「美容外科」と「美容皮膚科」は正式な診療科名として認められました。

歴史的背景

医療の専門家・多様化に対応するため、2008年の医療法施行令改正で標榜診療科目が見直され、「美容外科」「美容皮膚科」が正式に認められるようになりました。これにより、美容医療を専門とする医療機関が自らの専門性を適切に表現できるようになりました。

注意点

  • 「美容外科」と「美容皮膚科」は単独で標榜可能です。
  • 「美容」と他の診療科名を組み合わせた標榜は認められていません。
    (例:美容整形外科)
  • 美容医療を行う場合にも適切な診療科名の選択が必要です。

まとめ

適切な標榜診療科名の選択は、法令順守だけでなく、患者さんとの信頼関係構築にも重要です。特に美容医療分野では、「美容外科」「美容皮膚科」という正式な診療科名を用いることで、提供する医療サービスの内容を明確に示すことができます。同時に、これらの診療科名を不適切に組み合わせたり、認められない診療科名を使用したりすることは避けなければなりません。

医療機関の特色を活かしつつ、法令に沿った標榜診療科名を選択することで、患者さんに正確な情報を提供し、適切な医療サービスの提供に繋げることができます。

ここで紹介した情報は、2024年7月現在のものです。法規制は変更される可能性があるため、クリニック開業を検討される際は、最新の情報を確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。

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