目次
一人暮らしの平均家賃
総務省の家計調査(2021年)によると、一人暮らしの全国平均家賃は5万854円です。
また、生活費の平均は17万9,795円であるので、支出の約3割が家賃にあてられているとみられます。しかし、都心部は家賃相場が高く、単身者向けの広さの部屋であっても家賃が10万円前後かかってきます。
この「3割」という数字は、住む物件の家賃を決める上でひとつの目安となっており、「手取り収入の3割」が理想の家賃といわれてきました。
総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2021年」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000000330001&tclass2=000000330022&tclass3=000000330023&result_back=1&tclass4val=0
家賃の目安は手取りの3割から”2.5割”へ
家賃を決める際に目安となってきた「手取り収入の3割」。昔から言われている目安ですが、明確な根拠があるわけではなく、それ以上になると生活が苦しくなる、という先人の知恵のようなものが広がっていったものです。しかし、近年は物価が上昇し日々の生活にかかるお金も増えているため、「2.5割」と言われ始めています。
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査」によると、
令和4年度家賃の全国平均は78,069円、賃貸物件に住む世帯の世帯年収の平均は499万となっています。
手取りが約80%程度だとすると、月33.3万円で、この手取りに占める家賃割合は約23%になります。
手取り収入の2割弱程度ですが、この調査では、
家賃について「非常に負担感がある」「少し負担感がある」と家賃を負担に感じている人が合計53.8%にも上ります。
このことからも、家賃の目安としては「手取り収入の2.5割」以内に変化しているといえるでしょう。
しかし、勤め先の会社から家賃補助が出される場合や、家賃相場が高いエリアに住む場合、良い部屋に住みたい場合など家賃が手取り収入の3割を超えることもあるでしょう。
暮らしのどの部分に重きを置くかは人によって違います。日々の生活で何にいくら使っているのか、譲れない部分はどこなのかを考え自分に合う家賃を把握することが大事です。
国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf
医師の理想の家賃と平均家賃
一般的な正社員と比較した医師の理想の家賃
手取り収入の2.5割が理想の家賃といわれることから、一般的に収入が高いとされる医師はその収入に比例して家賃も高い部屋に住んでいると考えられます。
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、一般的な正社員の平均年収は523万3000円。厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1428万8900円。医師の平均年収は一般的な正社員の平均年収の約2.7倍となっています。しかし、収入が高くなると税率も高くなるため、手取り額にすると、正社員約405万、医師約980万となり、医師の平均手取り額は、一般的な正社員の手取り額の約2.4倍であることがわかります。
一般的な正社員の手取り収入の2.5割の家賃は、月々約8万4000円。医師の場合は約20万4000円の家賃が手取り収入の2.5割となり、こちらも一般的な正社員の約2.4倍となっています。
会社員と医師それぞれ理想の家賃は、会社員約8万4000円、医師約20万4000円が目安になります。
年収別医師の理想の家賃
医師の中でも、診療科目や勤務形態により収入は異なります。
厚生労働省「第23回医療経済実態調査」によると
例えば大学病院の勤務医の場合は、年収約1467万8000円、病院長の場合は約2690万円、開業医の場合は2699万7000円です。
大手美容外科の場合、1年目から2200万円、院長クラスになると年収4000万~1億を超えることもあります。
これをもとにそれぞれの理想の家賃を算出すると以下になります。
収入が増えるほど家賃にかけられる金額も増えますが、実際にはそれほど必要ない、あるいは他のところでお金を使いたいという場合も多いでしょう。
国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/minkan.htm
厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040029181
現役医師の家賃事情
<美容勤務医 年収約2200万>
①30代 東京 家賃25万円
②20代 東京 家賃14万円
③20代 大阪 家賃9万円
<大学病院勤務医 年収約1100万>
①20代 神奈川 家賃 2万円(寮)
②20代 東京 家賃 13万円
③20代 東京 家賃 17万円
総程度の収入であっても、実際に家賃にかけている金額は様々であることが分かります。個人の価値観により大きく異なるため、収入が高いからといって家賃が高い部屋に住んでいるとは言い切れません。また、高い家賃を払い続けるなら購入してしまった方が良いと考える方もいらっしゃいます。
まとめ
医師の平均収入をもとに、目安となる家賃を算出しました。総じて所得が高い傾向にある医師ですが、家賃にはあまりお金をかけずに将来のための資産運用にまわしたり、病院の寮に住んでいてあまり家賃がかからなかったりという場合もあります。そのため、一概に家賃が高い所に住んでいるとは言い切れません。しかし、同年代の一般的な会社員に比べると家賃が高い所に住んでいるケースが多く見られます。
所得が多いということは、必要最低限の生活費を除いた時に残るお金が多くなり、そのお金を何に使うか選択肢が広がります。暮らしの中で何に重きを置くのかを把握し、自身の価値観に合わせて理想のお部屋を探しましょう。