物件を借りる際には様々な費用が発生します。それらの意味や違いを理解することで、認識違いによるトラブルなどを防げます。この記事では、テナント賃貸時に遭遇する主要な費用項目について解説し、自宅の賃貸との違いにも触れていきます。
目次
敷金
敷金は、賃貸借契約時に、賃借人(テナント)が賃貸人(オーナー)に預ける保証金のことです。基本的に、賃貸借契約が終了した際に返還されます。
主に以下の目的で徴収され、返還時にはこれらに掛かった費用を引いた残りの額が返還されます。
- 家賃の滞納に備えるため
- 退去時の原状回復費用に充てるため
保証金
保証金は、敷金と同義で使われることが多く、主にテナント物件で使用される用語です
クリニックテナントにおける敷金・保証金の特徴
- 金額:賃料の6~12ヶ月分程度
- 返還:契約終了時、未払い賃料や原状回復費用を差し引いた残額が返還される
- 注意点:高額になることが多いため、資金計画に組み込む必要がある
礼金
礼金は、賃貸借契約時に借主が貸主に支払う一時金で「権利金」とも呼ばれます。
オーナーへの謝礼金としての意味合いがあり、返還されません。
クリニックテナントにおける礼金の特徴
- 金額:賃料の1~2ヶ月分程度
- 返還:基本的に返還されない
- 注意点:地域や物件によって有無や金額に差がある
償却・敷引き
敷金・保証金のうち、契約時に定めた額を貸主が収益として計上すること。
例えば、償却・敷引きについて「解約時20%」の場合は、敷金・保証金のうち20%は解約時の返還対象になりません。
ここで注意しなければならないのが、契約書に明記されている内容です。敷金・保証金は、一般的に原状回復費などに使われますが、法律で決まっているわけではありません。そのため、もし契約書に償却・敷引き分が原状回復費にあてられるという内容の記載が無ければ、償却・敷引き分とは別に原状回復費がかかる場合があります。
償却・敷引きされる分が、原状回復費などにあてられるかどうか契約時に明確にしておきましょう。
クリニックテナントにおける償却・敷引きの特徴
- 金額:敷金・保証金の一定割合または定額で設定される
- 返還:敷引き額は返還されない
- 注意点:契約書に明記されていることを確認し、将来の返還額を把握しておくことが重要
テナント賃貸と住宅賃貸の違い
クリニック開業のためのテナント賃貸と一般的な住宅賃貸には、いくつかの重要な違いがあります
- 契約形態
・テナント賃貸:事業用賃貸借契約
・住宅賃貸:居住用賃貸借契約 - 保証金・敷金の金額
テナント賃貸:一般的に賃料の6~12ヶ月分程度
住宅賃貸:一般的に賃料の1~3ヶ月程度 - 契約期間
テナント賃貸:長期(3~5年、それ以上も珍しくない)
住宅賃貸:短期(通常2年) - 解約予告
テナント賃貸:一般的に3~6ヶ月前まで
住宅賃貸:一般的に1ヶ月前まで - 原状回復義務
テナント賃貸:契約書に記載のとおりの原状回復が求められるため費用負担も大きい
住宅賃貸:一般的に通常使用による損耗・経年劣化は貸主負担
まとめ
クリニック開業のためのテナント賃貸では、一般的な住宅賃貸よりも高額な初期費用と長期の契約期間が特徴です。敷金、礼金、保証金、償却、敷引きなどの費用項目をしっかりと理解し、事前に十分な資金計画を立てることが重要です。また、契約内容を詳細に確認しましょう。