美容医療業界は年々成長を続けており、開業を目指す医師も少なくありません。
クリニックの開業までには入念な準備と計画が必要不可欠です。
本記事では、美容クリニック開業までのスケジュールと資金調達の基本について解説します。
目次
美容クリニック開業までのスケジュール
開業まで約6ヶ月~1年、退職の意向は6ヶ月前までに伝える
開業までの目安期間は、物件の契約や内装工事、各種手続きなどを考慮すると、約6ヶ月から1年程度が一般的です。開業までの期間はクリニックの規模などにより変化します。また、現在の勤務先を退職する場合は、十分な引き継ぎ期間を確保するために、開業の3~6ヶ月前までに伝えることが望ましいでしょう。詳しくは勤務先の雇用契約や就業規則をご確認ください。
開業準備の主な流れ
- 事業計画書の作成
- 物件の探索と契約
- 開業資金の調達
- 医療機器・設備の選定と購入
- 内装工事の実施
- スタッフの採用と研修
- 広告宣伝の準備
1.事業計画書の作成
美容クリニック開業の全体像を示す重要な書類です。事業コンセプト、ターゲット顧客、提供する医療サービス、価格設定、収支予測などを詳細に記述します。また、開業後3〜5年間の事業展望を示すことで、事業の実現可能性を評価することができます。
2.物件の探索と契約
開業したいエリアの物件情報を調べたり、不動産会社に相談しましょう。物件の広さ、立地、賃料、設備などを比較検討し、開業予定のクリニックに適した物件を選定します。物件契約の際は、賃貸借契約書の内容を十分に確認し、必要に応じて弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
3.開業資金の調達
自己資金、金融機関からの融資、投資家からの出資などの方法を検討します。融資を受ける際は、事業計画書や財務予測を作成し、金融機関に提出します。資金調達については次の目次で詳しく解説していきます。
4.医療機器・設備の選定と購入
必要な医療機器・設備を選定し、購入あるいはリースします。必要な機器はどのような施術をするのか、クリニックの特徴によっても変わりますので、事業計画やコンセプトをはっきりさせておきましょう。機器の性能、価格、アフターサービスなどを比較検討し、長期的に使用できる機器を選定することが重要です。
5.内装工事の実施
クリニックの内装工事では、患者さんに快適で安心感のある空間を提供することを目指します。待合室、診察室、処置室、受付など、各エリアの設計を行い、動線や使い勝手を考慮します。また、クリニックのコンセプトに合わせたデザインを取り入れ、他クリニックとの差別化を図ることも重要です。
6.スタッフの採用と研修
開業前に、医師、看護師、受付スタッフなど、必要な人材を採用します。人材の採用方法としては、ご自身の知り合いやその紹介で集める場合もあれば、人材紹介会社や求人サイトを利用する場合もあります。クリニックの理念に共感を持っており、施術の知識や技術があるスタッフを採用できるとなお良いでしょう。採用後は、クリニックの理念や方針、医療サービスの内容などについて、十分な研修を行います。
7.広告宣伝の準備
開業前から、クリニックの認知度を高めるための広告宣伝活動を準備します。ウェブサイトの制作、看板やチラシの作成、SNSアカウントの開設など、多様な媒体を活用します。また、開業後のオープニングイベントや記念キャンペーンなども企画し、集客力を高めることが重要です。
美容クリニック開業の資金調達
美容クリニックの開業資金
美容クリニックの開業にはおよそ1億円程度かかるのが一般的です。特に都心部の人気エリアで開業する場合には、物件の賃料が高くなるためその分費用が必要になります。
美容クリニック開業の人気エリアについてはこちらの記事をご覧ください。
「美容クリニック開業物件の人気エリアと選び方 ~テナントビルで開業する際の注意点~」
https://ishinofudosandesk.com/journal/business_start_up/article-24/
開業資金の調達方法
自己資金と金融機関からの融資が主な資金調達方法です。他に、企業や投資家からの出資などの方法を取る場合もあります。融資を受ける際は、事業計画書や財務予測を作成し、金融機関に提出する必要があります。その際のポイントは、適切な借入額の設定と返済計画の立案です。開業後の収支を詳細に予測し、無理のない借入額を設定することが重要です。開業の目的や事業の将来性をアピールし、信頼関係を構築することが求められます。
・どれくらい融資を受けられるかは個人による
金融機関からの融資は1つの銀行からおよそ1億円程度が目安となっています。しかし、中にはあまり借入ができない場合や、さらに高額の借入ができる場合もあります。
・さらに借入ができる事例
独立する前のクリニックで指名人気や知名度が高く、開業後も安定した売り上げが見込める場合などは、1つの銀行から1億円以上の融資を受けられる方もいます。予約枠を開放してすぐに予約が埋まるような場合、施術単価により計算した収益見込みの確実性が高まります。これを金融機関は高く評価するため、多くの融資を受けられます。
物件の契約と融資の関係
物件の契約には敷金や保証金、仲介手数料などの初期費用が必要です。融資金額の中にこれらの費用が含まれていることが多いですが、融資を受けるためには物件の賃貸借契約書が必要なケースがほとんどです。そのため、物件を契約するために融資を受けたい、でも融資を受けるために物件が必要、という状況に陥ってしまうのです。
この問題に対応するには、以下のような方法が考えられます。
- 自己資金で物件を契約し、後から融資を受ける
- 物件オーナーと交渉し、融資実行までの期間、敷金や保証金などの契約金の支払いを猶予してもらう
- 融資の仮審査を受け、融資実行の見込みを得てから物件を契約する
物件の契約と融資の関係については、金融機関や物件オーナーとよく相談し、最適な方法を検討しましょう。
まとめ
美容クリニック開業までには、入念なスケジュール管理と資金調達が必要不可欠です。開業までの手順を明確にし、十分な準備期間を設けることが重要です。また、資金調達では、適切な借入額の設定と返済計画の立案が求められます。物件の契約と融資の関係にも注意が必要です。
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